館長の朗読日記1766/今年を振り返って
館長の朗読日記1766 (戦後70年12月31日 新規)
○今年を振り返って(1)
私の朗読活動は大まかに3つの分野から成り立っている。その3つの活動分野とは、①朗読の研究活動、②朗読の指導活動、③朗読の実演活動、である。ただし、①の「朗読の研究活動」の「研究」は意味をかなり広げている。これらの3つの分野ごとに今年を振り返ってみたい。正直にいうと、今年はあまり活動できなかった。
その原因の1つは、今年の3月から年末にかけて、私の実姉の一人(三姉)が自宅を新築&転居したことに起因している。その新築&転居は、私の他の実姉(四姉)が主導的に手伝ったのだが、その重要な局面ごとに私も補佐役として手伝ったのである。三姉や四姉ほどではないが、私も時間と労力をかなり費やしたわけである。
そうはいっても、②の「朗読の指導活動」と③の「朗読の実演活動」のように、具体的な相手がいる活動分野は手を抜くわけにいかない。勢い、そのしわ寄せは①の「朗読の研究活動」に集中する。端的にいうと、朗読に関する単行本『朗読の上達法』『芥川龍之介の文学的軌跡』の原稿執筆などにはほとんど手が回らなかった。
○今年を振り返って(2)
まず、①の「朗読の研究活動」について。狭い意味での「朗読の研究活動」については、上記のように、ほとんど手が回らなかったのだから、研究成果は零である。例外は、年末に恒例の「講演と朗読の会」を開催するために、その講演の準備をする過程で単行本『太宰治の文学的航跡』の研究がかなり進展したことくらいである。
広い意味の「朗読の研究活動」については、思いもかけぬ機会に恵まれある成果を上げることができた。それは、朝日新聞(全国版)の文化欄の企画記事『Re ライフ 人生充実』シリーズの一回として、昨年10月15日に「朗読に 心をこめて」という記事に結実した。私の朗読の理論に基づいて、朗読が紹介されたのである。
このシリーズで朗読を取り上げることが決まると、担当部局の石前浩之デスク(大阪本社生活文化部次長)が取材担当の十河朋子記者に私を強く推薦してくれたらしい。石前さんは以前から『朗読の理論』や『花もて語れ』を読み、私の朗読観や朗読理論を高く評価してくれたという。その記事は、私の広義の研究成果といえる。
○今年を振り返って(3)
次に、②の「朗読の指導活動」について。私の朗読指導は、今年も、朗読サークル(5地域6サークル)の定期的な朗読指導がほとんどである。毎年、どのサークルも新たな入会者と退会者が少しづつ発生し、会員がその分だけ入れ替わっていく。しかし、レッスン歴の長い会員の比率が年々高まり、全体的レベルは上がっている。
全体的なレベルが上がってくると、新たな入会者は早くそのレベルに追いつこうと頑張らざるを得ない。新たな入会者が頑張れば、レッスン歴の長い先輩の会員たちもウカウカとしてはいられない。新旧の会員たちが良い意味で刺激し合って、その意味でも全体的なレベルを押し上げていくのである。これは一種の良循環であろう。
今年は、その他に、千葉県犯罪被害者支援センターが主催した「千葉県犯罪被害者週間/千葉県民のつどい」での朗読を特別に指導した。主催者から依頼され、千葉朗読サークル「風」の会員有志3人が犯罪被害者の手記2つを舞台で朗読したのだが、この舞台は他の一般的な朗読会とは全く性格が異なると痛感したからである。
○今年を振り返って(4)
最後に、③の「朗読の実演活動」について。今年も、毎年末の恒例にしてきた「東百道・講演と朗読の会」の第8回「太宰治の文学とその航跡(再出発期)」を開催した。観客数は昨年より少なかったが、内容的にはこれまででもっとも自信を持てるものになったと自負している。このイベントをどうするかは、今年の課題である。
昨年から新たに始めた「小さな朗読館〜感動をつくる朗読をめざして〜」を、今年から年3回の定期公演化するよう試みた。観客数と感想や意見など観客の反応を探りながらの試みであったが、概ね予想したとおりであった。また、ゲスト出演者の反応は予想した以上に良かった。それらの反応を受けて、継続していくことにした。
以上、朗読活動についての今年を振り返ってみた。今年も、私が指導している朗読サークルの皆さん、私たちの朗読を聴きに来てくださった観客の皆さん、朗読を通してさまざまな交流をした皆さんなど、朗読でご縁のできた方々に大変お世話になりました。それらの皆さんのご理解とご支援に、私の心からの感謝の意を表します。
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