05館長の朗読日記 96
館長の朗読日記 96 (戦後63年1月16日新規)
○品川朗読サークル「あやの会」の今年初の朗読レッスン
昨日の午前中に品川朗読サークル「あやの会」の今年初の朗読レッスンを行なった。
冒頭に、朗読ステップ2修了記念の「おさらい会」のスケジュールと会場について打ち合わせた。すると、話は再来年の「朗読発表会」のことにまで発展し、その会場をどこにするかという議論になった。会場によっては1年前から予約を受け付けているし、良い会場は希望が殺到するということだから、必ずしも遠い先のこととも言えない。5月の「おさらい会」が終わる頃までには「朗読発表会」の会場候補の選定と開催日の決定をしておかなければならない。そこで、それまでに皆でいろいろな会場の下見をしておこう、ということになった。皆さん、やる気満々である。
次に、私の初の個人リサイタル(?)である「東 百道・講演と朗読の会――宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』の世界――」のチラシを配り、加えて「これは絶対にお聴き得ですよ」という前宣伝をした。会員の皆さんの反応が、予想していたよりもずっと良かったので、私としては大変に嬉しかった。
肝心の朗読レッスンは太宰治の『雪の夜の話』の全体練習なのだが、皆さんが着実に上達しているので、これも大変に嬉しかった。着実に文章(作品内容)の流れをつかんだ読み方ができてきている。その分、自然な語り口になってきている。このグループは熱心な人が多く、他のグループの「朗読発表会」や「おさらい会」にも積極的に聴きに行ったり、あるいは、自宅での一人練習をしっかりやってきたりする。この年末始の休み中も熱心に自宅練習をしてきたことが伺える朗読が多かった。どんな芸事でもそうだろうが、特に朗読は「練習は絶対に裏切らない」傾向が強い。着実な上達の背後には、着実で熱心な一人練習があるのである。
ところが、今年初のレッスンのため私の方が何となく今ひとつ普段の調子が出なかったせいか、一わたりレッスンが終わった時点で40分以上も時間があまってしまった。そこで、船旅で世界一周旅行をしてきて、ほぼ4ヶ月ぶりにレッスンに復帰した会員にその土産話をしてもらった。その詳しい内容は省略するが、話を聴いているうちに私も船旅の世界一周旅行をしたい気持が猛烈に湧き起こってきたことだけは記しておきたい。
○三鷹朗読サークル「さつきの会」の今年初の朗読レッスン
昨日の14時30分から「さつきの会」の会員の皆さんと、今年6月18日に予定している「朗読発表会」に関する打合せを行なった。2月後半から「朗読発表会」に向けた練習に入るスケジュールになっているのだが、まだ台本が決まっていないのである。昨年末に、会員の一人が吉村昭の作品を提案してくれたので、その採否を検討することがメイン・テーマであった。結論的には、作品の内容はなかなか良いのだが、今の段階ではこの作品のステージ朗読で観客に感動していただくのはむずかしいだろう、ということになった。そして、時間もないことだし、今回は、昨秋に千葉朗読サークル「風」が上演した高木敏子原作の『ガラスのうさぎ』をやる、ということで皆さんの意見が一致した。会場は昨年と同じ三鷹芸文センター・星のホール(座席数250席)である。
15時00分から、このグループの今年初の朗読レッスンを行なった。やはり冒頭に、「東 百道・講演と朗読の会――宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』の世界――」のチラシを配り、同じく「これは絶対にお聴き得ですよ」という前宣伝をした。このグループの反応も予想以上に良かったので大変に嬉しかった。肝心の朗読レッスンは宮沢賢治の『注文の多い料理店』の全体練習なのだが、さすが朗読ステップ4の段階に進んでいるだけあって、会員の皆さんはかなり余裕をもって朗読表現が出来るようになっている。この作品はユーモアのある内容なので、ある程度余裕をもって朗読しないと、その味が出てこない。しかし、単に余裕をもっただけではユーモアそのものを表現できないことも当然である。全体的にかなりオーバー気味の演技をしなければならない。特に、登場人物の人物像を鮮明、かつ、デフォルメして想像・創造した上で表現しなければならない。演出者の立場に立った語り口が要求されるのである。また、ポピュラーな作品なだけに、皆がその内容を知っている。そういう作品の朗読で、改めて聴き手に感動してもらうのはなかなかむずかしい。皆かなり上手に表現していたが、まだまだ改善の余地は数多くあるように感じた。
こちらも、今年初のレッスンのためか、一わたりレッスンが終わった時点で1時間以上も時間があまってしまった。後に新年会が控えているとはいえ、いくら何でも1時間も前にレッスンを終えるわけにもいかない。そこで、朗読発表会の準備について少し具体的な打合せをした。さらに、2月3日に三鷹で開催する「小さな朗読館・山桜」の運営に関する実務的な打合せも行なった。
○三鷹朗読サークル「さつきの会」の新年会
その後、場所を変えて新年会を行なった。このグループには男性会員が一人いて、一応、幹事長ということになっているのだが、新年会の主導権はたちまち圧倒的多数の女性会員たちの手に移ってしまった。幹事長の発言回数と音量が急速に落ちていく。もちろん私は、心得ているので、初めから控えめに静かにしている。女性会員たちのはなやかな話し声が会場を満たし、幹事長と私(男性二人)の影は終始薄かった。しかし、その方が新年会そのものは盛り上がるし、楽しくなる。また女性会員たちも心得たもので、幹事長と私をそれなりに持ち上げてくれる。それで男性二人もつい良い気持になってしまうのである。
この会場では飲食しながらの会話を楽しんだのだが、皆それだけでは物足りなくなって、近くのカラオケに場所を移すことになった。ビルの4階にある立派なカラオケである。私は現役時代にスナックや赤提灯でカラオケをやったことはあるが、いわゆる「カラオケ」に行ったことは無かった。いやあ「カラオケ」の設備や装置はすごい機能だ、と思わず眼をみはってしまった。皆、自分の持ち歌を歌ったのだが、共通の歌が多かった。私たちの年代は、その前後のかなり幅の広い年代にわたって、その時代その時代に共に聴き、共に愛唱した歌が数多くある。その共通した歌に、共通の時代的な想い出が籠もっており、同時にまた、一人一人の個人的な想い出が付着している。一人が自分の持ち歌を歌いだすと、他の人がつられて歌い出し、ついには皆で合唱することになる。そのときの皆の表情に、皆で共有した時代的な想い出と、自分だけの個人的な想い出が、混合してにじみ出ているように思えたのである。
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