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05館長の朗読日記 120

館長の朗読日記 120 (戦後63年3月02日 新規)

 今年も、はや3月になった。わが家の猫の額ほどの庭に、紅梅の木が一本ある。この梅の木はいつも遅咲きなのだが、その蕾もかなり膨らんでいる。冬が過ぎ、春が来たのは嬉しい。しかし、最近は、月日の過ぎ行く速さに対し戸惑う気持ちの方が強くなってきている。
 昨日は、八千代朗読サークル「こちの会」と千葉朗読サークル「風」の朗読レッスンを行なった。

○八千代朗読サークル「こちの会」の朗読レッスン
 今回から、5月に開催する朗読ステップ2修了記念「おさらい会」向け台本の練習に入った。この場合は、会員一人一人が別々の台本に取り組むので、どうしても時間がかかる。八千代「こちの会」は会員数が多いので、時間のやりくりが大変である。
 通常は、アルバイト仕事などの関係で、2時間弱の間でレッスンをこなしているが、今はアルバイト仕事が休みの期間なので、その埋め合わせの意味もあって、14時~17時の3時間をレッスンに当てている。それでも、昨日は時間が不足気味であった。
 朗読ステップ2の段階では、文の始めと終わりの部分を上へ高く出るように指導している。少しでも「読む語り口」から「語る語り口」に変わって欲しいからである。しかし、それがなかなか出来ない会員がいる。2年たっても、頑として「読む語り口」が変わらないのである。しかし、その「読む語り口」が下手かというと、必ずしもそうではない。それなりに聴かせる朗読なのである。一人一人が別の台本を朗読する場合は「まっ、それでもいいか」と考えている。人によってはなかなか変らない(変れない)し、それはそれで仕方ないのである。
 また、会員によっては太宰治の『黄金風景』や夏目漱石の『夢十夜』など、一クセも二クセもある作品を台本にしている場合がある。そういう台本を、朗読ステップ2の段階でどの程度まで演出的に指導したらよいのか、迷うところである。そういうときは、本人にはっきり演出的な指導であることを断り、本人がそういう指導を受け入れる意思のある場合に限って、一歩踏み込んだ指導を行なうことにしている。太宰治の『黄金風景』については、千葉「風」のおさらい会でそういう演出的な指導の実績がある。しかし、夏目漱石の『夢十夜』は今回が初めてである。私の演出通りに朗読すると、一味も二味も違う素晴らしい朗読作品になると思うのだが。

○千葉朗読サークル「風」の朗読レッスン
 今回は、山本周五郎の『夕靄の中』の全体練習であった。はじめに、全員に約1ページづつ朗読指導をしていった。ポイントは、間(ま)とメリハリを含めた、文や文節の「つなぎ」を意識した朗読表現の仕方。そして、それを通した、場面イメージのつくり方である。
 しかし、それがなかなか出来ない。3年半も経って、まだ出来ないのか、と思った。ところが、やっていくうちに、最初は出来ないが、注意すれば皆その場で直ちに修正できる、ということに気がついた。思わず、内心で「へえっ」と唸ってしまった。いつの間にか、注意さえすれば、その場で修正できるだけの表現力が身についていたのである。考えてみれば、これはすごいことだ、と思った。
 山本周五郎の『夕靄の中』はけっこう長い作品なので、前半だけで朗読指導が一巡してしまった。時間も若干あまっていたので、作品の後半は、私はコメントを控えて、皆に約1ページづつ順に読み継いで朗読してもらった。ちょうど全員が読み終わったところで、作品も終わるという、まことに具合の良いことになった。しかも、その後半の読み継ぎの朗読が、なかなか良かったのである。私がそう感じただけでなく、会員たちも皆そう思ったらしい。皆、自分の朗読がどうだったかは良く分からないが、他の会員の朗読については良く分かる。3年半もレッスンを受けていれば、そのくらいの耳は備わってくる。その耳で聴いて、お互いの会員の朗読表現に感心し合っていた。
 もちろん、まだまだ不満な点は多い。しかし、さすが朗読ステップ4の段階まで来ただけのことはある、と思わせる朗読であったことも事実である。

○「東 百道・講演と朗読の会」千葉公演の準備状況
 このサークルの会員有志が中心となって「東 百道・講演と朗読の会」実行委員会が結成された。そこで、レッスンの前後に、その有志たちから「東 百道・講演と朗読の会」千葉公演の準備状況の報告があった。有志たちの役割分担、チラシとチケットの原案とポスターのデザイン構想、その他諸々である。とにかく、この有志たちの企画力と実行力はすごい。私は、ただただ舌を巻くのみであった。結果は、言うまでもなく「すべてお任せ」ということになった。ありがたい話しである。

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