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05館長の朗読日記 123

館長の朗読日記 123  (戦後63年3月08日 新規)

 

○「本田悠美子 スケッチ展 ― 木のある風景 ― 」を観に行く
 三鷹朗読サークル「さつきの会」の代表であり、2月の「小さな朗読館・山桜」に出演した本田悠美子さんが「本田悠美子 スケッチ展 ― 木のある風景 ― 」と題する個展を開いている。昨日は、その初日だったので、三鷹市まで観に行った。会場は「小さな朗読館・山桜」をやったギャラリー・オークで、JR三鷹駅から4分くらいのところにある。
 本田さんは朗読だけでなく、絵画や老人向けの体操指導などいろいろやっておられる多芸な方である。ところが、数日前から急に体調がすぐれなくなり、会場に来られなくなったという。
 私は絵の心得がまったくなく、まして個展などを開いたこともない。しかし、個展を開く人の大きな楽しみの一つは、個展の期間中に会場に常駐し、来場したさまざまな鑑賞者たちと親しく歓談することにあるだろう、というくらいの察しはつく。本田さんは、今回、その大きな楽しみを味わうことができなくなってしまった。本当に無念に思われていることと思う。私も、会場で本田さんの絵を観ながら、ご当人のお話しを伺うのを楽しみにしていただけに、残念でならない。
 展示されている絵は、皆、すばらしかった。そして、本田さんが会場おいでにならなくとも、一つ一つの絵そのものが、本田さんの内面の想いを鑑賞者に雄弁に語りかけているように思われた。私は絵は不調法なので、専門的なことはまったく分からない。しかし、色彩がとても豊かで明るく、観るものの心が暖かくなるような風景なり風俗なりを一つ一つの画面として切り取ってある、ということくらいは十分に感受できた。フィリピンの小さな島であるカオハガン島の風景や風俗をスケッチしたものを中心に、国内各地あるいはご自身の居住地・三鷹市界隈をあちこちスケッチしたものが30点くらい展示されてあった。
 カオハガン島のスケッチはもちろん良かったが、私は本田さんの住んでおられる三鷹市牟礼の幼稚園をスケッチしたもの、それと、盛岡の石割桜をスケッチしたもの、この二つの絵が特に印象に残った。牟礼の幼稚園をスケッチした絵は、素朴でさり気ない構図のものだったが、本田さんのとても温かい視線が感じられた。本田さんの個人的な想いが色濃く込められているようにも思われた。盛岡の石割桜をスケッチした絵は、大きな石を裂き割って大樹にまで成長した桜の老木の生命力の強さとともに、そのような環境においてさえ何とか生き抜こうとしてきた生命の尊さ、生き物という存在のはかなさとありがたさが、大らかに表現されているように思われた。
 展示されている絵の多くが絵葉書として複製印刷され、会場で販売されていた。販売されている総ての種類の絵葉書を一枚づつ購入してきた。今後、その絵葉書を何回も見返して、そのたびに思い出したくなるような素敵な個展であった。

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