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05館長の朗読日記 153

館長の朗読日記 153  (戦後63年5月21日 新規)

 
○品川「あやの会」の朗読ステップ2修了記念おさらい会
 昨日(5月20日)は品川「あやの会」の朗読ステップ2修了記念おさらい会が開催された。
 前日から天気予報で大雨になると警報が出されていたが、こういう当たって欲しくないときに限って不思議と天気予報は当たるもので、朝から土砂降りの大雨だった。京成本線~都営浅草線と乗り入れているので、最寄り駅の八千代台から五反田までそのまま一本で行ける(実際は途中の青砥で乗り換えたが)のだが、大雨のせいで先の電車が詰まってしまって10分程度の遅れが出た。こんな調子では、おさらい会を聴きに来るつもりの人も、つい二の足を踏んでしまうのではないか、と心配になった。
 というのも、昨年の朗読ステップ1修了記念おさらい会のときには、他の朗読サークルから聴きに来た人がたったの一人だったのである。品川「あやの会」がもっとも後発のグループであり、また、かなり他のグループから遠隔の地にある、などといった点を考慮しても、いくら何でも一人というのは問題である。そこで、今回は、他のグループの人たちに特に聴きに行くことを勧奨したのである。他のグループの人たちにも、それなりの反省があったとみえ、今回はかなり聴きに来てくれるという手ごたえがあった。しかし、この大雨では、それにかなり水をかけられてしまったのではないか、と心配になったのである。
 しかし、蓋を開けてみると、その心配は杞憂に終わった。最初のうち、出足は確かに鈍かったが、時間が経つにつれ、八千代市、船橋市、三鷹市、千葉市などから、続々と他のグループの人たちが聴きに来てくれた。出演者の知人友人も徐々に聴きに来てくださった模様で、最終的には用意した50席くらいの椅子が足りなくなって、追加しなければならなくなったほどであった。

○おさらい会での朗読の出来栄えと課題
 座席数が50席程度の朗読会の場合には、会場がそんなに広くないし、座席部分を特に暗くすることもないので、聴き手の顔の表情や身体の仕草が間近に見える。朗読者は、こういう場合が一番緊張するものである。どのグループの場合も同じだが、今回も出演者はかなり緊張していたようだ。しかし、朗読の場合には、このように緊張した方が上手くいく。特に、初心者の場合はそうである。なぜなら、緊張のあまり、つい「恥と外聞」を忘れてしまい、その結果、普段の日常会話的な表現力がほとばしり出ることが多いからである。つまり、自意識的にはつい我を忘れてしまうため、音声言語的にはつい我に返ってしまうからである。そのせいもあってか、今回も皆かなり良い出来栄えだったように思われる。
 この場合、良い出来栄えというのは、出演者当人のこれまでの朗読表現に比べての話しである。朗読水準それ自体が良い出来栄えだった、というのとはちょっと違う。これも、どのづループでも同じことだが、朗読水準それ自体にはかなりのバラツキがある。
 私が朗読指導した年月もバラバラ(2年~数ヶ月のバラツキ)であるし、それ以前の朗読経験もバラバラである。また、台本もバラバラであったから、それが出来栄えに微妙に影響している点もないではなかった。朗読は台本選びの段階から始まっている。朗読においては、どの文学作品を台本に選ぶか、という問題はきわめて重要な位置を占めている。時には、決定的な位置を占めている、と言っても過言ではない。
 また、この段階では、特に「読んでいる語り口」か「語りかける語り口」か、という点でも大きなバラツキがある。聴き手にとっては、この点がどちらの「語り口」であるかによって、印象が決定的に違ってくる。さらに、同じ「語りかける語り口」といっても、他人事(ひとごと)として「語りかける」のか、自分事(わがこと)として「語りかける」のか、によっても聴き手の印象が大きく違ってくる。そして、この自分事(わがこと)として「語りかける」ことが、朗読における「自然な語り口」に深く関係している、きわめて重要な要件なのである。
 最初の「読んでいる語り口」から「語りかける語り口」への飛躍が、すぐ出来る人と、なかなか出来ない人がある。しかし、なかなか出来ない人は悲観するに及ばない。時間が経てば必ず出来るようになるのであり、場合によっては、時間がかかることが却って、その後のその人の朗読表現を深め高めることにつながる可能性もあるからである。
 また、他人事(ひとごと)として「語りかける」ことから、自分事(わがこと)として「語りかける」ことへの飛躍は、当初、私が考えていたよりもむずかしいらしい。当初、私は、朗読ステップ3くらいでこれが出来ると思っていたのだが、実際は、朗読ステップ6くらいまでかかるらしい。もちろん、これは平均的な話しであり、個人差があることは言うまでもない。

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