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05館長の朗読日記 239

館長の朗読日記 239  (戦後63年12月10日 新規)

○太田由希奈選手の現役引退に寄せて(その2)

 前回(館長の朗読日記 235)の「太田由希奈選手の現役引退に寄せて(その1)」に再掲した太田由希奈選手からのメッセージ「応援してくださった皆さまへ」を読むと、文面からいろいろなことが推測される。
 まず、全体としては、簡にして要を得た文体であり、内容である、という印象を受ける。こういう場合だから、時間をかけて推敲を重ねたに違いないが、それにしても、書いた人間の賢さと優しさ、そして何よりも、心の豊かさを感じさせる文章である。テレビのインタビューに対する彼女の応答の仕方や内容からも、同じことを感じていたが・・・・・・。
 つぎに、文面には「競技以外でもスケートを続ける道や次のステップが示され」たと記されているが、これは「msn産経ニュース」の記事内容「プロとしてアイスショーに出場しながら、コーチや振付師などの道で競技にかかわっていく」に対応している。アイスショーでの演技ならば、競技におけるジャンプほど、足に過重な負担がかからない。したがって、今後も「プロとしてアイスショーに出場」を継続し、彼女なりのフィギュアスケートを探求・創造していくことができるであろう。また、彼女の能力をもってすれば、さらに「コーチや振付師などの道で競技にかかわっていく」方向にも大いに期待することができる。是非、コーチや振付師としてフィギュアスケートに新基軸を打ち出し、フィギュアスケートそのものをレベル・アップさせていって欲しい。
 他方、彼女は「現役引退を決意」するまでに「思い悩む日が続きました」と記している。この部分を、後の「本来なら2004年で私のスケート競技は終わっていたのかもしれません」という文章と合わせ読むと、そこに2004年以降の何年にも及ぶ彼女の苦悩の大きさ、深さが滲み出ているように思えて、全く言葉が出ない。復帰した2006年に彼女が舞った「スワン・レイク」が、また念頭によみがえってくる。あれは、そういう苦悩を心に抱えながら舞ったものだったのか。
 最後に、学業について、同志社大学政策学部に戻ること、そして「知識を貪欲に吸収して今後の人生の歩みに役立てたい」との決意が記されている。その言や良し。フィギュアスケートしか能のない人間になるのではなく、さらに大きく高く深く豊かな人間に成長して欲しい、と心から願っている。(つづく)

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