« 01最新のイベント情報(朗読会などのご案内) 第58版 | トップページ | 00特別なお知らせ 61 »

05館長の朗読日記 500

館長の朗読日記 500   (戦後65年07月28日 新規)

○本田悠美子さんの遺作一点のこと

 一昨日(7月26日)の夜、自宅に宅急便でかなり大きな荷物が届けられた。
 本田悠美子さんの弟さん夫妻が、本田悠美子さんの遺作の絵を一点送ってくださったのである。
 先日(7月18日)、西荻窪の「ギャラリー彦」で開催された「本田悠美子遺作展」を観に行った折、弟さんご推薦のこの絵を譲っていただいた。一応、名目的には購入したことになっているのだが、その代価は恐らく額縁代にも満たなかったのではないかと思われる。したがって、実質的には無償で譲っていただいたと同じである。ありがたいことと、とても感謝している。 
 その絵は、当日の「本田悠美子遺作展」において、会場の2階の入口を入った直ぐのところに展示されていた。絵柄といい、書かれていた文字(言葉)といい、大きさといい、展示されていた場所といい、会場の中でも際立っていた。
 送られてきたものを自宅で見ると、会場で観たよりもさらに大きくて迫力があった。縦62センチ、横47センチの額縁に収められているのだが、絵はその額縁の内側ほぼいっぱいの大きさである。薄いが丈夫そうで光沢のある和紙の上に、大らかにゆったりと描かれている。
 中央から下辺にかけて、大きく、赤い実を沢山つけた「万両」が描かれている。その「万両」は、どっしりと底の広がった陶製の花瓶に生けてある。その花瓶は、益子焼か笠間焼のような、素朴な感じの黄色と褐色をしている。
 緑の葉の下に、赤い実を沢山つけた「万両」と、それを生けてある素朴な黄色と褐色の花瓶。そういう緑と赤と黄色と褐色の配色が、とても眼に快いハーモニーをなしている。
 また、どっしりと底の広がった陶製の花瓶と、それに大きくタップリと生けてある「万両」が、全体に大らかでゆったりとした安定感のある構図をなしている。
 絵画には素人の私であるから、描写の巧拙は判らない。しかし、この絵には観ていて飽きない味がある。
 さらに、この絵には、上辺いっぱいに、大らかで飾らない筆致で、次のような本田悠美子さん直筆の書が添えられている。その書の言葉は次の通りである。

「感謝と喜びで二〇〇八年を締めくくれた幸せ。私は私の人生の主役。みんなみんなありがとう。      二〇〇八年十二月三十一日 悠美子」
 
 思い返せば、この絵が描かれた2008年は、本田悠美子さんにとっても、私にとっても、本当に特別の年であった。
 そして、この絵を描いた2008年の年末は、本田悠美子さんが命がけの「臍帯血移植」治療を何とかやり終え、その治療による完治を期待しつつ、病院から退院し、自宅で養生しておられた時期であったと思う。

○二〇〇八年に開催した「小さな朗読館・山桜」のこと

 前年2007年の夏に深刻な白血病と診断された本田悠美子さんは、同年秋の入院加療の結果、小康を得て退院し、翌2008年の2月3日には私といっしょに「小さな朗読館・山桜」を開催した。
 出演者は本田悠美子さんと私の2人だけ、一種の朗読二人会であった。結果的には、これが、本田悠美子さんが朗読を主演した、最初で最後の朗読会となってしまった。
 朗読会の当日は、関東地方ではめったにない大雪の日であった。
 交通機関の混乱が予想される中、それを押して聴きに来てくださった会場いっぱいのお客様。その多くは、本田悠美子さんと親しい知人友人の皆さんであった。また、その中には、遠隔の地で私が指導している朗読サークルの会員の皆さんの姿もあった。あるいは、久しく会わなかった中学以来の私の旧友の姿もあった。
 そして、何よりも、深刻な病を押して、目いっぱい明るい声で朗読表現をした本田悠美子さんの姿が印象的であった。
 それらは、そのときの私のまずい朗読も含めて、総てが忘れがたい思い出となっている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「小さな朗読館・山桜」
〔日時〕2008年2月03日(日) 
     開場13時00分 開演13時30分
〔会場〕ギャラリー・オーク
    (JR三鷹駅南口より徒歩3分)
〔出演&演目〕
 本田悠美子(佐藤愛子原作「ああ六十八歳」)
  東  百道(宮沢賢治原作「紫紺染について」)
 本田悠美子(藤沢周平原作「山桜」)
  東  百道(藤沢周平原作「荒れ野」)
〔主催〕「小さな朗読館・山桜」の会
〔参加〕事前予約制・会費1000円

○二〇〇八年に出版した『朗読の理論』(木鶏社)のこと

 また、2008年は、私が永いことかかって書き上げた『朗読の理論』を、ようやく木鶏社から出版することができた年でもあった。2008年3月のことである。
 もともと筆まめであった本田悠美子さんは、入院してからはさらに筆まめになって、この『朗読の理論』についても、さっそく次のような葉書を書いて送ってくださった。

「前略 抗癌剤投与、5日目に入り、あと1日で投与は終ります。それからが、発熱、脱毛、はきけ、感染症との戦いになりますが、今回は、絶対、すべて軽くすませ、寛解(治る)状態で退院すると決めています。
 ところで「セロ弾きのゴーシュ」の理論、大感動しています。全く、朗読レッスンのステップと同じですよね。創造する。表現する。という(自分を通して、又、ばいたいとして)ことは、実は皆ここを通ってこそ「印度の虎狩」に到達するのですよね。又、私は、先生の理論に刺激されてか、また、死とむかい合って病気と闘っているせいか、「生きる」ということと重ね合わせて読んでいます。「セロ弾きのゴーシュ」を書いた宮澤賢治の、思想、哲学というか、ものすごく深いものに思えます。
 今は全く整理してお話出来ませんが、人間が表現しないではいられない生命力、又、一人では生きられないもの、まさに、大乗仏教思想にまで、いきつくのではないかと、大それたことを感じています。
 退院後、又、ゆっくり考えてみたいと思っています。まさに「セロ弾きのゴーシュ」は世界的、歴史的、思想的大傑作にちがいありませんね。感動です。
 こんなすごい本を先生に頂いて、とてもうれしいです。希望が湧き、世界が拡がり、朗読の楽しみがまた拡がってきました。
 元気にならなければと思います。
 また、朗読会やりましょう。力をかして下さい。」
(杏林大学病院中央病棟C-5より2008年3月30日付消印)

○二〇〇八年に開催した「東百道・講演と朗読の会」のこと

 さらに、2008年は、私が初めての個人朗読会を開催した年でもあった。2008年の4月(八千代市公演)と6月(千葉市公演)に、私は「東百道・講演と朗読の会」を開催したのである。
 この2008年の朗読会を皮切りとして、その後、毎年、八千代市と千葉市で私の個人朗読会を開催してきた。ただし、千葉市で開催する朗読会は、翌年から「東百道の朗読館」と改称し、内容も「東百道・講演と朗読の会」とは違ったものにしている。
 この2008年の4月~6月は、本田悠美子さんにとって、白血病との闘いが大きな転機を迎えていた。従来やってきた通常の治療法が最終段階の最も厳しく苦しい時期を迎えていた。そして、その結果、従来の治療法では限界のあることがはっきりした時期でもあった。さらに、最後の手段として、まさに命がけの「臍帯血移植」治療に突入していった時期でもあった。
 したがって、当時の本田悠美子さんは、私の朗読会を聴きに来るどころではなかった。
 しかし、ちょうどその時期に、私は、本田悠美子さんの小康状態を見計らって、病院まで何度か見舞いにいっている。そして、2度、病院の中で本田悠美子さんと1~2時間ほど対談し、その模様を録音している。本田悠美子さんが主な話し手であり、私はその話しの聞き役といったような役回りであった。演劇と朗読の違い、朗読表現の魅力、人生観、劇団民藝時代の思い出など、とても貴重な内容だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「東 百道・講演と朗読の会」(八千代市公演) 
   ―宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』の世界―
〔日時〕2008年4月23日(水) 
        開場13時30分 開演14時00分
〔会場〕八千代市勝田台文化センター・ホール
〔講演&朗読〕 東 百道
〔プログラム〕
 第1部 講演 『セロj弾きのゴーシュ』を読み解く
         <休 憩>
 第2部 朗読 『セロ弾きのゴーシュ』(全)
【交通】
 京成成田線「勝田台駅」の南口から徒歩5分
 東葉高速鉄道「東葉勝田台駅」の南口から徒歩5分
【入場料】1000円(講演資料付)/全席自由
【主催】感動をつくる・日本朗読館
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「東 百道・講演と朗読の会」(千葉市公演)
   ―宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』の世界―
〔日時〕2008年6月27日(金)
    開場13時30分 開演14時00分
〔会場〕千葉市生涯学習センター・ホール(2階)
〔プログラム〕
 第1部 講演 『セロj弾きのゴーシュ』を読み解く
          <休 憩>
 第2部 朗読 『セロ弾きのゴーシュ』(全)
〔講演&朗読〕 東 百道
【交通】
 JR「千葉駅」東口または北口から徒歩8分
 京成千葉線「京成千葉駅」から徒歩10分
 千葉都市モノレール「千葉公園駅」から徒歩5分
【入場料】1000円(講演資料付)/全席自由
【主催】「東 百道・講演と朗読の会」実行委員会

|

« 01最新のイベント情報(朗読会などのご案内) 第58版 | トップページ | 00特別なお知らせ 61 »

05館長の朗読日記(戦後65年/西暦2010年)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 01最新のイベント情報(朗読会などのご案内) 第58版 | トップページ | 00特別なお知らせ 61 »