館長の朗読日記1422/朗読漫画『花もて語れ』の第103話
館長の朗読日記1422 (戦後69年05月27日 新規)
○朗読漫画『花もて語れ』の第103話(1)
昨日(5月26日)、小学館から『週刊スピリッツ』2014年26号が届いた。本号には朗読漫画『花もて語れ』の第103話「蜜柑①」が掲載されている。前の第102話から約1ヵ月ぶりの掲載である。朗読的には、今回から芥川龍之介原作の「蜜柑」に入る。この「蜜柑」については、拙著『朗読の理論』の中でも論及している。
今回の第103話「蜜柑①」で、早くも、この作品を朗読するためのポイントが2つ提示されている。朗読的なポイントについての補足は、漫画の進行に先走らないよう、今回は控える。代わりに、この作品の朗読シーンを漫画化するに際して、片山ユキヲさんや高島雅さんや安井洋子さんが、どのような点に苦労したかを記しておこう。
この「蜜柑」という作品の、冒頭は「或曇った冬の日暮である。私は横須賀(よこすか)発上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり発車の笛を待っていた」という文章で始まっている。場面は横須賀駅に止まっていた二等客車の中である。漫画の場合は、その場面の総てを絵に描かなければならない。そのためには、大変な準備が要る。
○朗読漫画『花もて語れ』の第103話(2)
当時の横須賀駅の様子は? 駅舎の様子は? プラットホームの様子は? 汽車はどこにどういう風に止まっていたのか? その汽車の外観は? 二等客車の中はどうなっていたのか? 壁は? 床は? 天井は? 座席の配置は? 座席の形は? 座席の模様は? 窓の配置は? 窓の形状は? 乗降扉は? 客車と客車の境の扉は?
担当編集の高島雅さんによると、世の中には鉄道マニアが多数いて、こまかい点にまで眼を光らせ、少しでも間違いがあると鋭く指摘してくるという。そうでなくとも、出版社や編集者としての誇りがあるから、可能なかぎりは正確を期したいという。資料調査を担当する安井洋子さんも、苦労しながらその点を徹底的に調査したらしい。
その成果が上がる度に、担当編集の高島雅さんから、たくさんの資料のコピーや写真の複製が送られてきた。朗読の場合は漫画と違って、イメージを言語で表現し、それを聴き手にイメージしてもらえればそれで済む。私も、今回の漫画ほどの事前調査はしたことがないし、そのような調査能力もない。その点、小学館はさすがであった。
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