館長の朗読日記1434/朗読漫画『花もて語れ』の第105話
館長の朗読日記1434 (戦後69年06月10日 新規)
○朗読漫画『花もて語れ』の第105話(1)
昨日(6月09日)、小学館から『週刊スピリッツ』2014年28号が届いた。本号には朗読漫画『花もて語れ』の第105話「蜜柑③」が掲載されている。この第105話は、前話に続いて、主人公・佐倉ハナによる芥川龍之介原作「蜜柑」のステージ朗読の模様が描かれている。まず眼前の田舎者の小娘の様子が表現される。
眼前の田舎者の小娘の様子を表現している芥川龍之介のこの文章は、小娘の髪型(頭)から両頬(顔)から襟巻がだらりと膝まで垂れ下っている様子(首から膝)から膝の上の風呂敷包みを抱いた両手(腕の肘から手首)から三等の赤切符をにぎっている指先(手の指)までの、原作者の視線の流れるような動きを表わしている。
そして、その芥川龍之介の文章の行間において逆表現されている原作者の視線の流れるような動きを、片山ユキヲさんが小娘を描いたコマごとの画面はそのまま描き出している。この第105話を読む方々は、これらのコマごとに描き出された原作者・芥川龍之介(=朗読者・佐倉ハナ)のイメージの流れをぜひ読み取って欲しい。
○朗読漫画『花もて語れ』の第105話(2)
眼前の小娘を嫌悪した原作者・芥川龍之介は、次にポッケットの夕刊を読み出すのだが、この第105話ではその新聞の紙面を実際に描き出している。片山ユキ ヲさんと高島雅さんと安井洋子さんは、この部分の『蜜柑」の文章の解読を踏まえた資料調査の結果、当時の新聞記事と思われるものを再構成して実際に紙面を描き出してしまったのである。
さらに、小娘が汽車の窓を開けようと四苦八苦している様子を描き出している。この画面は、この時代の横須賀線の二等客車の窓がどのような構造をしていたかという精密な資料踏査をしっかりと踏まえて描かれている。この窓の構造がキチンと分からないと、このときの小娘が窓を開けようとする様子を漫画にリアルに描けない。
この第105話において、田舎者の小娘が汽車の窓を必死になって開けようとしている姿がリアルにしっかりと描かれている。原作の文章表現だけから、今回の第105話に描かれている窓を開けようとしている小娘の姿をイメージすることはきわめてむずかしい。この画面だけで、この第105話の価値はグッと高まったと思う。
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