館長の朗読日記2055/品川「あやの会」と大田「くすのき」の朗読レッスン
館長の朗読日記2055 (戦後72年09月20日 新規)
○品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(1)
昨日(9月19日)に品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスンを行なった。今回は第2期・朗読ステップ6の第7回目、今回から新しいレッスン台本・菊池寛原作「仇討三態(その1)」のレッスンに入る。今回はその第1回目、初回であるから、会員に少しづつ朗読してもらいながら、主に私から朗読的作品解説を行なう。
少しづつ朗読してもらった文章とその場面に応じて、その文章と場面の朗読的なポイントを解説していく。また、私が全体を通して強調したのは、この作品は主人公・惟念の悲劇的な前半生と仏門に入ってからの悟りの物語を表側とすると、その裏側に敵役の老僧の生涯を通しての悲劇の物語が逆表現されているということである。
老僧(鳥飼八太夫)という、文武両道に秀で、人格識見も豊かで高い武士であるからこそ辿らなければならなかった悲劇。その老僧の悲劇性をどこまで自分事(わがこと)イメージできるかが、この文学作品の厚みと深さを読みとる鍵であり、この文学作品の朗読に厚みと深さをもたらす鍵である。どのくらい理解してもらえたか。
○品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(2)
来年5月に予定しているこのサークルの朗読発表会の台本が最終的に決まった。岡本綺堂原作「修禅寺物語」である。ただし戯曲の方ではない。岡本綺堂が戯曲「修禅寺物語」を書いた想い出や舞台となった修禅寺温泉を再訪したときの随想を交えながら、小説として戯曲「修禅寺物語」のエッセンスを書き直した方の作品である。
現代離れした内容と古めかしい文体を危惧する意見も、会員の間にはあったようだ。しかし、会員全員で熱心に議論した上で採決された作品であるから、私はその選考過程と結論を尊重したいと考えた。また、会員の間にあった危惧の念も十分理解できるが、朗読する側の本気度と熱意さえあれば、観客の感動を呼ぶことはできる。
逆にいえば、この作品は、会員の皆さんの奮起を促すともいえるわけである。それが、吉と出るか凶と出るかは、会員の皆さん次第である。最後に、会員有志がやっている「ほっと♥サロンあやの会」が開催した「第1回おさらい会」の報告があった。これは、会員有志が老人の希望者に朗読を指導している会のおさらい会である。
○大田朗読サークル「くすのき」の朗読レッスン(1)
昨日(9月19日)に大田朗読サークル「くすのき」の第7回目の朗読レッスンを行なった。今回は、第1期・朗読ステップ1の第7回目。前回から2本目のレッスン台本・芥川龍之介原作「蜜柑」のレッスンに入っている。今回はその第2回目である。今回は、作品解説よりも、会員の朗読の「語り口」を重点的にレッスンした。
朗読レッスンも7回目ともなると、いくら記憶力が減退した私でも、ある程度は名前と顔が一致してくる。完全に一致したといえない点が情けないところであるが。とまれ「語り口」に重点をおいて会員の朗読を聴いてみると、初心者的な「語り口」も、また、いわゆる朗読調に染まった「語り口」も、それほど耳につかなかった。
いずれにしても、このサークルの会員の朗読水準は、この時期にしてはかなり高いようである。声優的な訓練を受けたという2人の若い会員は、さすがの表現力である。朗読は未経験という何人かの会員は、それぞれ年輪を感じさせる味のある朗読をしている。それぞれ「語りかける語り口」の基本を習得した結果が楽しみである。
○大田朗読サークル「くすのき」の朗読レッスン(2)
朗読の経験者の何人かは、やはり、なかなかの朗読をしていた。しかし、基本的な「語り口」という点では、まだまだ課題がいくつかあった。今回、特にびっくりしたのは、朗読のかなり経験者である会員が「語りかける語り口」という点では、ほとんど満点の朗読をしたことだった。果たして、どういう系列の先生に習ったのか?
当の会員は口を濁して語らなかったが、私の『朗読の理論』を読み、私の朗読入門講座(今年1月に大田文化の森で開催した入門講座)に参加して、痛切に「今までの自分の朗読は何だったのか」と思ったという。それを聴いて内心唸ったのは私の方である。この会員が今後どういう朗読をするようになるか、非常に楽しみである。
レッスンの最後に、来年5月に予定しているおさらい会について説明した。上演形式は1人1作品形式で行なうが、台本は全員に斎藤隆介原作の童話を朗読してもらう。台本は年末に配布することにした。配布する台本の中から、好きなものを選んでもらう。重なったら、ジャンケンで決めてもらう。久しぶりのおさらい会となる。
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