館長の朗読日記2385/品川「あやの会」の朗読レッスン
館長の朗読日記2385 (戦後74年08月07日 新規)
○品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(1)
昨日(8月06日)の9時50分から品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスンをおこなった。今回は、第3期・朗読ステップ2の第5回目、レッスン台本・宮澤賢治原作「紫紺染について」の第5回目である。先月7月を最後に会員3人が相継いで退会した。それぞれの事情(遠路の大変さ、脚の痛み、体調不良)が限界に達したという。
先月から元大田朗読サークル「くすのき」の解散にともなって元会員5人が入会した。それを機に従来の会員3人が退会した。その結果、このサークルの会員は15人になった。朗読サークルの会員は、おおむね安定して在籍しているのだが、皆さんはそれぞれの事情をかかえているので、何かの機に相継いで退会することがときどき発生する。
レッスン台本「紫紺染について」のレッスンも5回目になると、会員の皆さんもそれぞれかなり仕上げてくる。しかも参加者が14人(会員数15人のうち1人が欠席)ともなると、こちらが驚くような朗読をきかせてくれることも多い。この「紫紺染について」は、漫才そこのけの対話や酔っ払いのセリフやら変化に富むのでなおさらである。
○品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(2)
せっかちな朗読をしていた会員が、かなり落ち着いた語り口に変貌していたり、朗読になると高音になり声がときどき裏返っていた会員が自分本来の声の音域で表現したり、本番さながらに心情を籠めた朗読表現をしてくれた会員も何人かいた。朗読のレベルの高い会員は、最終段階になると、加速的にその実力を発揮するようになるのである。
朗読は、朗読者の音声言語だけですべてを表現しなければならない。したがって、文字言語で表現されている文学作品の作品世界を再表現する場合、その文字言語だけを音声言語に変えるだけでは、その作品世界のイメージや心情を表現することはできない。文字言語には書かれていない、息遣いや言葉にならない声なども駆使する必要がある。
特に、この「紫紺染について」のような厚みと奥深い面白さを秘めた作品を朗読する場合には、どんなに上手に音声言語を表現し、どんなに《間》と《メリハリ》を利かしても、それだけではなかなかその面白さを朗読表現し切れない。もちろん、ものには限度があり、何事もやり過ぎてはならないのであるが、必要最小限度はやるべきである。
○品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(3)
今回は、レッスンの後に、同じ会場で新旧会員の懇親会が開催された。私も招待されたので参加した。会場も普通の会議室であるし、食べ物もお昼のお弁当とお菓子とお茶だけのシンプルな懇親会であった。しかし、会員の皆さんの暖かい心と自由活発な会話に満ちた、とてもすばらしい懇親会であった。新規入会の会員も大いに楽しんでいた。
改めて全会員が自己紹介をすることから始まった。新規入会の会員はもちろん、元からの会員についても、今まで知らなかった側面を自己紹介してくれた。お互いによく知ったつもりになっている会員同士も、たまにはこのように自己紹介し合うのも良いものだとつくづく思った。その後は、まことに自由闊達で面白くも楽しいな発言が続いた。
そのなかには、私や「あやの会」を知った経緯、あるいは、私の朗読指導や「あやの会」に関する感想や意見もあった。私の単著『朗読の理論』や『宮澤賢治の視点と心象』、あるいは、私が朗読協力&朗読原案を提供した朗読漫画『花もて語れ』を読んだ経緯や感想&意見もあった。もちろん会員相互の過去の言動や逸話も話題になっていた。
○品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(4)
私の朗読指導についての感想&意見もあった。そのなかでなかなか面白い指摘があった。私が会員の朗読についてコメントするとき、ときどき妙に回りくどい言い方をするというのである。朗読に直接関係ないような抽象的なことや、ボヤっとした内容の話しから始まるのだが、途中から急に朗読についての具体的な指摘に変わっていくという。
なぜ、最初から具体的な指摘をしないのか、という質問でもあった。そこで、私の朗読指導の楽屋裏を少し話してみた。私は会員1人1人の朗読を聴きながら、その会員に今の段階でどのようなコメントしたらもっとも良い指導になるかを、その場で考えていく。すぐ最良のコメントを考えつく場合もあるが、なかなか考えつかない場合もある。
私の朗読指導は、いわば真剣勝負のようなところがあるから、良いコメントを考えつかない場合には、自分の考えをまとめたり、相手の様子を探ったり、相手にいろいろと問いかけたりしながら、相手の問題点を探り当て、最良のコメントを構想していく。公教育のように指導&回答すべき内容があらかじめ決まっている場合とは違うのである。
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コメント
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投稿: Merletib | 2023年2月15日 (水) 10時34分