館長の朗読日記2907/品川「あやの会」の朗読レッスン
館長の朗読日記2907 (戦後78年11月12日 新規)
〇品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(1)
先日の11月07(火)の9時50分から品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスンをおこなった。今回は、第3期・朗読ステップ6の第8回、レッスン台本・森鴎外原作「高瀬舟」の第3回のレッスンである。この森鴎外原作「高瀬舟」は、朗読的に大変むずかしい作品である。したがって、この作品の朗読でその実力がよく判定できる。
このサークルも、かなり実力のついてきた会員が何人かいる。そのうちの1人が、他のそういう会員の朗読を聴いて「とても自然な朗読で良かった」と思わず口に出した、というように感想を言った。私は、そういう朗読をした方も立派だが、そういう感想を素直に口にした方も立派だと思った。朗読ステップも第3期の最後になるとこういうことが起こる。
各サークルで、こういうレベルの会員が数名出てくると、それらの会員がサークル全体を有形&無形のやり方でリードしてくれるようになる。普段のレッスンのときもそうだが、朗読発表会の準備に入ると自主練習会が増えてくる。そういう自主練習会の場では、そういう実力のついた会員のリードは、きわめて貴重であり有効であり有難いものとなる。
〇品川朗読サークル「あやの会」の朗読レッスン(2)
ただ、繰り返していうが、この森鴎外原作「高瀬舟」は、朗読的に大変むずかしい作品である。したがって、当該の会員の朗読が「とても自然な朗読で良かった」とはいっても、それでこの「高瀬舟」の朗読がすべて良かったわけではない。特に「喜助」が弟を安楽死させる場面の緊迫感、切実感、非哀感などの朗読表現が充分だったとは言えない。
そして、そういうことは朗読した当人が百も承知している。今回の感想を口にした会員も、そういう感想を言われた会員も、すでにそういうレベルに到達している。このレベルになると、朗読を如何に演出的に朗読していくかという課題に直面していく。これはまさにエンドレス、到達地点の無い、芸術的に自分の朗読をどう仕上げるか、という問題になる。
そしてまた、この「高瀬舟」という作品は、そういう問題をいわば無限に提供してくれる特別の朗読台本といえると思われる。相撲で言えば、いくら力いっぱいぶつかっていってもがっちりと受け止めてくれる横綱のようなものであろう。ただし、ぶつかっていく方の力が弱いと、まったく相手にしてくれないようなところも、相撲のぶつかり稽古に似ているようだ。
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